ヴィクトール=シェルシェールシリーズ、磁器

« Poétique du geste  » 展 アートセンターLa Graineterie, 企画:Sonia Recassen et Maud Cosson | 2018年1月20日（土）〜3月10日（土）

空間にパネル・アクリル絵具・顔料, サイズ可変, 2018年

ヴィクトール＝シェルシェール（1804～1893）はフランスで奴隷制度廃止運動に大きく貢献した政治家である。彼は裕福な家庭に生まれ、父親が経営していた磁器製造工場の商品を販売するためにメキシコに派遣された。その時にキューバを訪れ、過酷で非人間的な奴隷制度を目の当たりにしたことが契機となり、生涯を奴隷制度廃止運動に捧げた。彼は相続した磁器製造工場を売却し生計を立てた。
19世紀以降、奴隷制度廃止運動はヨーロッパとアメリカ合衆国で大きな世論となり、現在に至るまでにその目的の幾つかは達成されたが、今日でも子供や大人の奴隷及び強制労働は絶えることがない。

晩年をフランス・ウイユ市で過ごしたヴィクトール＝シェルシェールの家と、その遺品がウイユ市のコレクションとして保存されていた。彼の自画像や写真、奴隷制度に関連した版画や印刷物、記事、手紙や記録、本、小さな彫像や磁器。それらをひとつひとつスケッチした。

La Graineterieにおける絵画インスタレーションの制作において、ヴィクトール＝シェルシェールへのオマージュとして遺品の磁器のスケッチをもとにした絵画を実施した。そのかたちは磁器に施された鳥のモチーフのようなかたちをし、上空へと飛び立つ動きをイメージし制作した。

© Mari Minato 2018