みすずかるしなの

Installation for the « Japan Alps Art Festival 2017 » invited by Art Front Gallery | june 4th – july 30th 2017

Pigments, acrylic binder and aluminum on wall, beam, ceiling and post, various dimensions, 2017

「 塩の道」の宿場町だった信濃大町に残る蔵。古代から人々にとって 尊いものであり、畏れの対象であった水。各地に残る水信仰の象徴、 龍の子太郎の民話。その場が持つ記憶や歴史などと、この地を訪れス ケッチブックに描き集めたものを織り交ぜ、制作した。

江戸時代に建てられたこの町の蔵の特徴は、蔵の床下をながれる川 （水）。その蔵は当時台所としても使われており、囲炉裏のある生活の 場でもあったとも思われる。 その内外に描いたひとつひとつの絵画は、信濃大町で昔使われていた 農具や生活用品などのスケッチをもとにしており、それらはある一つ の視点から見ることにより、それぞれのかたちがすっきりと見える。

当時の日本の家屋の仄暗いなか、その場に目が慣れてくると、私の描 いた色と共に見えてくるいろいろなもののかたちや、貼られたアルミ 箔に映り込む色。壁の表面に刻まれた時間。そして、そこにながれる 水の音に耳を澄ませると、今に至る時間のながれやこの場の雰囲気が 感じられる。そのような空間全体を使ったインスタレーションを実践 した。

題名の「みすずかる」とは、「しなの」に掛かる枕詞である。

© Mari Minato 2017